2010年09月07日

【特集】CS運営に関するお話

全国的に多くの非公認大会が催されている昨今。
数年前では考えられなかったような地域においても、百人前後規模での開催が珍しくなくなりました。
今後、新規地域の活性化は更に進んでいくことでしょう。近年の遊戯王人気には目を見張るばかりです。

開催数が増えるに従い、大会自体に求められるクオリティのハードルも次第に高くなってきています。
その一方で、文書化された運営技法というのは未だ少ないのが実情です。
苦心や失敗から学ぶこともありますが、参加者を犠牲にしないためにも、よりよい大会作りに向けた技術継承が進んでいけばと考えています。
今回、大会運営について一つの模範となるコラムを「ふにふに」さんに寄稿して頂きました。
豊富な開催経験に裏打ちされた文章は、運営を志す方は勿論の事、プレイヤーが読んでも楽しめるものであると思います。

-Ford(9/7)

---------------

こんにちは。
ふにふにです。

ここ最近では日本各地でCS(チャンピオンシップ)と呼ばれる遊戯王の非公認大会が開催されています。
多くのプレイヤーが手軽に大規模な大会を楽しめるCSは、今や遊戯王プレイヤーの中では知らない人がいない程の知名度となり、開催すれば黙っていても人が集まるほど大人気のイベントとなりました。

各地の主催者によって開催形式やフロアルールが異なりますが、どのCSでも参加プレイヤーに快適な環境で全力を尽くしてもらいたいのは一緒です。

その為には不備のない運営を心がけなければなりません。

遊戯王自体、ジャッジルールに関して規定が甘いという大欠点がありますので、運営は大変かと思います。

そこで、私が今まで運営を手伝ってきた中で覚えた事などをここに記しておきます。

これからCSを開催される皆様の、ちょっとした参考になれば幸いです。



寄稿:ふにふに(「東海組」地区長・「チーム神奈川」メンバー・2002年度アジアチャンピオン)
---------------

CSの大会形式は様々で、予選スイスドロー七回戦の後に上位者が決勝トーナメントに参加する形式や、場所によっては最初から最後までトーナメントの形式、さらに、ブロック形式で予選を行うCSもあります。
このように、大会形式などは多種多様ですし、フロアルールもその大会の運営者の好みで決まったりしています。
いろいろなルールを楽しめるのでそれ自体は良い事ですが、どの大会でも共通する事がいくつかあります。

まず普段の公認大会などとは違い、プレイヤー人数が百人規模になるという事です。場所によっては二百人規模になるところもあるかと思います。

それと、ほとんどの場合は会場を使用できる時間が限られています。
場所によっては多少ゆるいのかも知れませんが、少なくとも大会を開催する会場は公的な場所がほとんどかと思います。使用時間などもキッチリ決まっています。

もう一つ。ジャッジが複数人いるという点です。
百人規模を一人で運営するのは不可能です。当然、協力者の方々がいると思います。

以上の事を踏まえ、どのCSでも実践して欲しい事が二点だけあります。


1、対戦表は紙に出力して会場内に張り出すなど、全員が一斉に動ける状態を作る

ありがちなのが、一人ずつ名前を読み上げてテーブルに座らせる形式です。
16人程度の公認大会なら全く問題ありません。しかし百人以上の大会でこれをやったらどうでしょう。時間がもったいない上に多くのプレイヤーを待たせる事となり、快適な大会環境とは程遠くなるのではないでしょうか。
普段の公認大会がこの方法で対戦相手を決めるので、多くのCSでもこれに習い、同じ形式がとられているのだと思います。
しかし、やり慣れているCS運営者だと、対戦表などはプレイヤーが一目で分かるように紙に張り出して発表という形式、もしくは会場にホワイトボードなどがある場合はそこに書き出すなどして、とにかく全員が一斉に動ける状態を作ります。
呼び出し形式が慣れてしまったというCSもあるかも知れません。しかし、この張り出しの形式は、やってみると予想以上に大会進行が円滑になる事を感じていただけると思います。
極端な話、張り出し形式じゃなくてもいいので、とにかく何かプレイヤー全員が一斉に動ける環境を作ってください。
それが上手いCS運営の第一歩です。


2、カード効果などのルール以外は決められたジャッジが一人で対応する

これもありがちですが、多くの問題に複数のジャッジがあたっては対応にばらつきが出てきます。
例えば、対戦相手が誤ってドローフェイズでカードを二枚引いてしまったとしましょう。
あなたがジャッジなら、どんな裁定を下すでしょうか。
そのプレイヤーに対して警告を与えますか?
それとも故意か偶然か分からないので、悪い方に捉えデュエルロスを出しますか?
そのプレイヤーが常習犯だったらどうします?
続行するとして、見えてしまったカードはどうしますか?
戻してシャッフル?シャッフルはしないでそのまま?
もしくは、どれを引いたか分からないのでランダムに一枚デッキに戻しますか?
と、ちょっとした問題でもかなり多くの、しかも現実的な対応が考えられます。これらはどれが正しいというワケでもなく、人によって判断が変わってきます。
つまり、問題を対応したジャッジによっては甘い判定だったりキツイ判定だったり、予想以上の差が出る可能性があるという事です。判定にばらつきが出てしまった場合、参加プレイヤーから満足な裁定がもらえなかったと不満が出てきても仕方ありません。
そこで、こういったルールに関しては、運営者の中でも一番判断力がありそうな人に全て任せるのがベストな選択です。
その一人だけはやたら忙しくなり対応が遅れる場合も出るかも知れませんが、対応待ちでデュエル時間の減った卓へは延長時間を出せば問題ありませんし、カード効果などのルールに関しては他のジャッジが事務局へ電話するなどの対応で十分です。
一人に任せて大会進行に影響が出るという事はまずありません。
逆に、これをやらないと大会終了後などに「各ジャッジの対応が違い、それによって勝敗に影響がでた」などのクレームに繋がる可能性が非常に高いです。
公式で「この場合はこうする」などのルールがあれば全員がそれに沿って対応できるかも知れませんが、それが無いのが遊戯王です。
一人のジャッジで対応、是非実践してみてください。


以上が私的にはどこのCSでも実践すべきだと思う二点です。

CSをどのような形式で行うかなどは、もちろん運営者の自由です。
本文はCS運営者の方々の参考程度になれば良いかなと思っています。





どのCSでも実践して欲しい事は書きました。

補足的なものですが、私が運営を手伝っているCS、主に東海CSと神奈川CSで実践しているルールや心構えなどを書きたいと思います。

真に受けないでオマケ程度で読んでいただければと思います。

先に一つだけ断っておきますと、私がここで書いている事は、カードゲームの先駆けであるマジック・ザ・ギャザリングの大会形式に則っています。そして私は、それを遊戯王業界に逸早く持ち込んだ東海組の冬狼さんの下でCS運営を手伝い、それらを覚えてきました。
これまで冬狼さんが運営してきた大会では大きな揉め事もなく、大会進行もスムーズに行われています。

マジック・ザ・ギャザリングと遊戯王は別物ですが、実際運営を手伝ってきて間違いないと言えます。


さて、非公認を運営する上で大事な心構えを私的に言わせてもらうと、普段の遊戯王の公認大会と比べて「プレイヤーやジャッジに自由がある」という点かと思っています。

どういった点で自由があるのか。

それを説明する前に、これから書く事は、あくまで遊戯王非公認大会のフロアルール的なものとして考えていただく事を強く念を押しておきます。
公式のルールとは違う点が多くあります。


・ジャッジはプレイヤーに呼ばれたら大きな声で返事をしてすぐにプレイヤーの所へ行く

基本的ですが、意外と皆できてない事です。
「ジャッジ!」とプレイヤーが手を上げて呼んでいるのに、返事もしないでヨタヨタ歩いてくるようなジャッジからは正直やる気が感じられません。
ルールを質問するにしても、そんなジャッジから信頼のある答えが聞けるのか疑問が残ります。ようするに、プレイヤーの信頼を得られないようなジャッジは良くないという事です。
プレイヤーの質問にちゃんと答えられるかどうかはさておき、まずは返事をしっかりして、呼んでいるプレイヤーの所へは急いで行きましょう。


・ジャッジはデュエル中に明らかな間違いを見つけた場合はプレイヤーに指摘する

一見、当たり前すぎて「は?」と思われそうな事ですが、遊戯王の公認大会ではデュエル中に第三者は口を挟んではいけません。(店舗大会などでプレイヤーからジャッジに判断を求められた場合などは別ですが) ジャッジから口を挟んでいいかという定かなルールはありませんが、勝敗が左右されるほどの指摘をジャッジ側から受けた場合、プレイヤーは角を立てると思います。
これを最初にアリと明確に断っておけば、プレイヤーもフロアルールとして認識し、問題の少ない大会運営ができると思います。
そもそも、間違えたカードルールで進行する事はゲームのルールのみを考えた場合、正しくありません。間違えたルールで勝って楽しいかという話になれば、まぁ、勝てればいいという人もいるかも知れませんが、勝つならば正しいゲーム進行の上で勝っていただきたいものです。


・プレイヤーはカードの効果やテキストをジャッジに頼んで詳しく確認できる

遊戯王は本来、自分の記憶だけが頼りのゲームです。
例えば、裏側守備表示のカードの守備力を忘れた場合や、相手の手札にあるモンスターは判明しているのにカードの正式名称、または効果を忘れてしまったなど、公認大会ではどうしようもありません。
しかし、カードゲームのベストプラクティスに習った場合は、これらはジャッジに確認する事ができます。私が手伝ってきたCSで、カードの効果などをプレイヤーから質問された場合は快く教えます。
本来の遊戯王のルールとは違いますので、それはどうかと思われるかも知れません。が、純粋にゲームだけを楽しむ場合「全てのカードのテキストを覚えていなければならない」ということは必要ないと思います。


・サレンダーを認める

遊戯王の正式なルールではサレンダーは対戦相手が認めない場合は成立しません。
しかし、サレンダーが認められない場合にはデュエルの時間などをコントロールして勝つデッキタイプが出てくる事があります。そういったジャンルのデッキはゲームのルールには違反してなくとも、純粋なテーブルの上だけでのゲームが出来なく、対戦相手に不快感を与えやすいものです。マッチWINが可能なカードが存在しない今、サレンダーを認めない事はあまり意味が無いです。ついでに言えば試合時間もギリギリになり、運営的にも好ましいものではありません。
これらの問題に対しては、プレイヤー本人だけの判断によるサレンダーを認めてあげることが一つの解決方法になるかと思います。


・ジャッジは柔軟な対応をしなければならない

分かりやすい例なので話を出しますが、選考会でライフを偽ってジャッジに報告したところ、ジャッジがそれを認めライフを偽って報告した方の意見が通ってしまったという出来事がありました。そもそも、偽られた方の対戦相手にも問題があるのですが、それはさておき。ここではジャッジの対応にスポットを当てます。
それまで使用したカード枚数、どちらが不自然な証言をしているかなどを考慮した場合、嘘をついているのは誰かという事は、すぐに分かると思います。
それをせずにルールだけを見て嘘をつくようなプレイヤーの意見が通ってしまう。これはいかがなものか。私がこのときのジャッジをしていたら、ルールとは違っていようが怪しいと判断したプレイヤーの意見は通しません。
もちろん、その判断に間違いがあってはならないので、状況をよく考える事が重要です。その時々の状況をみて、的確な裁定を下さなければなりません。
機械的なジャッジではプレイヤーが満足しない事が多いです。


ここまで読んでいただければ察しがつくと思いますが、大会のルールはできるだけプレイヤーが不快感を感じないよう設定するという事が一つの目標となっています。
全てのプレイヤーの意見を組む事は不可能ですが、概ね快適な環境を作る事はできると思います。そのために、過去の大会などを参考にして少しでもプレイヤーに受け入れられるような大会形式やフロアルールが必要です。
クオリティーの高いCSにする為に、紳士的な行為を心がけ、一つのスポーツのように遊戯王を楽しもうとする姿勢が大事です。それはジャッジにも、プレイヤーにも言える事です。皆がそう心がければ、きっと良い大会になると思います。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。





(よろしければ、本記事に関するご意見・ご感想を「duelentrance.ford☆gmail.com(☆→@に)」までお寄せ下さい。)
posted by Ford at 22:52 | TrackBack(0) | 文献 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/161851565

この記事へのトラックバック