2011年02月12日

【レポート】第四回TCS〜テンノフダガミ〜(12/26)

「遊戯王のために遠征」なんて馬鹿らしいと感じる方もいるかも知れません。
ですが、この大会にはそんな感情を吹き飛ばせるだけの力があります。

案内板.JPG


当日、会場は九州一楽しい「観光地」。
毎年12月末に福岡県で開催される『Tetsu Champion Ship』、通称TCS。
自分を含め、遠方より参加するプレイヤーも多い本大会。その魅力をお届けします。
運営に懸ける熱意は、地方だからといって都市部に劣るものではありません。TCS以外の地方非公認大会についても然りです。
本レポートが、遠征に興味を持つ契機となれば幸いに思います。

なお、主催者Tetsuさんのブログ『━━━━体は札で出来ている。』内で、既に大会公式レポートが公開されています。
当ブログのTCS4記事にて、レポートだけでなく対戦動画・上位レシピ等へのリンク一覧を掲載中ですので、是非そちらも合わせてご覧下さい。

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「これ行かないと年越した気がしないですね」とは、長崎のプレイヤー・ソバットさんの言。
今回で4度目の開催となる本大会は、毎年の遊戯王を締め括る「お祭り」として多くのプレイヤーに周知されています。
その範囲は九州圏内に留まるものではありません。
今回の参加者エントリーリストには、東京や大阪はもちろん、北海道、沖縄といった地域からの参加者も見受けられます。
事前予約者総計、実に271名。
当日は降雪のために来場が叶わなかったプレイヤーも多いものの、それでも参加者は258名。
一会場・一日で行われた近年の非公認イベントとしては、おそらく史上最多の参加者を集めた大会ではないでしょうか。

DSCF0011.JPG


なぜ、TCSがそこまでの信望を集めるようになったのか。
Tetsu Champion Shipを語るには『Tetsu』という人物の説明から始めなければなりません。





◇Tetsu、そしてTCSとは?

tcs4ポスター.jpg


TCS運営委員会代表であり、福岡を代表する決闘者集団『Avalon』のマスターとして知られる漢・Tetsuさん。
しかし、プレイヤー・イベンターとしての在り方は、彼の一側面に過ぎません。
その行動は、遊戯王界の『活性化』という旗印の下に集約されています。

Tetsuさんも主要メンバーとして名を連ねた、2009年の選考会システム改善運動。久しく無かった一大ムーブメントとして記憶に新しいかと思います。
ですが、それより以前にも、選考会制度と戦っていた方々が存在した事をご存知でしょうか。

Tetsuさんの戦いは、2007年度の選考会予選に遡ります。
当時の集計体制を一言で表現すれば「杜撰」。
集計ミスと思しき事例が多発し、レーティングの計算過程もブラックボックス化され、不明瞭なものでした。無論、プレイヤーの抗議や情報開示要望にKONAMIが応じることはありません。
加えて、いかに多くの大会に参加するかが問われていた当時の制度。
九州の他地域に比べれば、福岡はまだ開催数に恵まれていたとはいえ、関東圏とは比較対象にもならず。少数の集計ミスも致命傷になりかねませんでした。

そんな状況を改善すべく、Tetsuさんは立ち上がりました。

「いくぞKONAMI――――武器の貯蔵は充分か」

KONAMIの不誠実な姿勢に対し、その都度根拠を示し、事実を積み上げ、対応の改善を求める。
一方的な批判ではなく「対話」、冷静な手法で挑みました。
その過程は自身のブログ『━━━━体は札で出来ている。』にて連載。カテゴリ名を『Tetsu VS KONAMI』と題する記事は十数に上り、今でも閲覧することができます。
行動は他地方をも巻き込んでいきます。Tetsuさんの姿勢に触発され、同様の活動を行う人も現れました。
多くのプレイヤーから声援を受けながら、戦いは3ヶ月近くに及び。
熱意は遂に功を奏し、対応改善の了解と取れる回答をKONAMI側から得るに至りました。

その後も、Tetsuさんは行動を惜しみません。
福岡の公認大会増加のため、店舗への働きかけと運営協力。
県内情報を一手に集めた『週刊福岡決闘者』の2年間に渡る週刊連載。
選考会後の期間に有志を集め、KONAMIと同一のレーティング計算で公認大会のランキング運営。
「遊戯王に限った事ではないですが『常々』を信条としています」
そう語る言葉が紛れもない真実である事は、インタビューを行った筆者にも伝わってきました。
実直な下積み時代を経ているからこそ、現在のTetsuさんが存在します。

九州域の非公認大会にも「出ない大会はない、という時期もあった」と自身で豪語する程に参加されていたそうです。
活動は他地域にも及びます。山口や広島といった近隣は勿論、非公認全国大会『遊戯王やろうぜ!!』決勝に際しては関東に2回とも足を運びました。
やろうぜ決勝大会ではTetsuさん御自身は出場者ではなく、九州の代表者を支援するためだけに参加されました。多大な費用と時間を割いての遠征です。並の人間に出来る事ではないでしょう。


長年の活動で培われた「縁」こそ、Tetsuさんの力。
TCSは、縁の結集といえる大会です。
運営陣にも繋がりが見て取れます。

主催:Tetsu
運営:ADDP/AIR/DoLL-MasTer/Pit/アルト/アンデッ藤/炎将/紀柳/クマシー/くろとり/そこのお前/ソネット/タカドン/帝/元春/ユゲ(『TCS運営委員会』)
AMIDA/B.Lack/Magic/varon/弁慶の彼/よみ(『Tetsu Champion Ship Judge:TCJ』)
FLOAT/あでりぃ/かぁゆ/くましょー/ハット/木綿(有志スタッフ)

以上、総勢29名。
CS主催者クラスも多数含む優秀なスタッフ陣によって、TCSは運営されています。
Tetsuさんは社会人。大会参加はおろか、宣伝回りすらままならない程に忙殺される時期もあります。
そんな彼を支え、時には名代として動くのがスタッフ。


また、協賛・宣伝協力には22の個人や店舗・団体が名を連ねています。
九州圏の店舗から情報サイト、更には『東海組』の名前まで。
筆者が大会前日に足を運んだ福岡の公認店舗『トイコレクター』では、大会ポスター掲示はもちろん、店内はTCSの話題で持ち切り。「福岡でTCSを知らない人間はいない」と言わんばかりの盛況でした。
大会4年目を迎えてもなお慢心せず、積極的に宣伝を行っています。


それらに見合った「イベントに対する意識」の高さも、TCSの大きな魅力と言えるでしょう。

まず、スタッフは全員スーツを着用。
参加者との区別がつけやすく、会場の雰囲気も引き締まります。
ふだん地元で彼らを見慣れているプレイヤーも、違った印象―――「今日はCSなんだ」という意識を持つようです。

受付風景。
受付所.jpg


「TCS運営委員会」所属者の胸元には、特製のバッジが。
運営委員会バッジ.JPG



29名という大所帯のスタッフは、受付・警備・大会記録などの部署に分かれ、当日まで綿密なミーティングを重ねます。
「300名近い参加者、トイレに行列が出来てしまうのでは?」という懸念まで、本気で話し合われていたそうです。
実際、入場者の管理を徹底する為に、トイレ退室者には整理手形であるトイレカードが配られ、予選運営に支障がなくなるような措置がとられていました。
そんな細かな所まで意識が向くのは、大会経験が豊富なスタッフ達だからこそ。


参加賞にも趣向が凝らされています。
・オリジナルトートバッグ
・ロゴ入りボールペン(全3色からランダムで1本)
・トークンカード
といったオリジナルアイテムに加え、デッキケース、プロモーションカード、トーナメントパックを配布。
4回参加賞.JPG


ちなみに、第3回TCSの独自参加賞は、ケース入りメモ帳とトークンカード。
3回参加賞.JPG


毎年新しくなる参加賞は、遠方からの参加者はもちろん、常連プレイヤーにとってもサプライズ。
次回はどんなものが配られるのか楽しみです。



場の雰囲気作りを目的とした会場装飾も見逃せません。
Tetsuさんが愛するゲーム『Fate/stay night』をコンセプトとしているTCS。
大会ロゴや、作中の画像を象ったポスターが室内の随所に散りばめられています。
柱装飾.JPG


近い時期に行われる大会の宣伝も。
写真は、1/9開催の『kinama杯』の宣伝ポスター。会場の良い賑やかしになります。
kinama杯.JPG


大会を盛り上げる中でも、健全な対戦環境作りは忘れません。
テーブルには全卓ビニール製プレイマットを設置。
プレイマット.JPG



Tetsuさんを中心とした人の縁で構成され、大会全体を統括するプロフェッショナル意識も代表者が求めるからこそ。
九州最大にして最高、Tetsuさんの口癖を借用するなら「最優」とでも称される大会として評判を博してきたTCS。
Tetsu Champion Shipはその名の通り、Tetsuさんだからこそ出来る大会です。





◇大会システム

当日参加者258名、運営陣を加えれば300名近い人員。
この大人数をどのように動かしていたのか、大会システムを見ていきます。


大人数故の難点として、情報伝達が行いづらくなる事が挙げられます。
着席場所の指示に始まり、ルール説明・開始の合図等、参加者全員に情報を伝えなければならないシーンは大会中に多く存在します。
そのため、受付〜1回戦終了まで基本的に退室は不可。できるだけ試合開始を遅らせないための配慮です。

案内スタッフは会場に常駐し、参加者の誘導を行います。
それと共に、会場案内や諸注意を壁に掲示。
会場案内.JPG


そのほか「パンフレット」が伝達に大きな役割を果たします。
タイムスケジュールやフロアルール・会場のスペース区分図などが記されており、当日は書中の指示に従って動けばOKです。
Fateを潤色したコンセプト文の記述から始まり、大会の全容が一括されたパンフレット。
目を通す度に試合開始前の緊張が蘇る、それ自体が記念品です。


運営陣は、会場最奥に設置された「運営本部」にて待機。
遺失物等の問題受付窓口・賞品管理を行うほか、スタッフの休憩所も兼ねます。
一息付くタイミングも必要ですが、それが見えてしまうと快く思れわない場合もあります。そのため、参加者の目に入りにくいスペースで休憩を取る仕組みです。


試合形式も、極大の規模にマッチした「16ブロック制スイスドロー」という形を取っています。
受付時にクジを引き、参加者をブロックに振り分け。
各ブロックに1名ずつスタッフ(出場者を兼ねる)が配属されており、参加者やマッチメイクの管理はブロックスタッフが行います。多人数のスタッフ陣は主にこのシステムを採用しているためです。
基本的には全ブロック同時に試合を開始していましたが、極端にエクストラターン等が長引いてしまったブロックは、次の試合の開始時間を遅らせる対応が取られていました。
ブロック毎の状況に合わせてある程度進行を調節できるため、効率的です。

大会入賞常連者が管理スタッフとして配属されているブロックもあります。
「紀柳さんの所は避けたいなあ……」「Tetsuさんだ!よっしゃ!」といった会話も醍醐味の一つ。


こうしたシステムで運営されているTCS。
予選開始は30分程遅れてしまったものの、決勝トーナメント(及びサブイベント)は予定通り15時に開始できていました。





◇TCSの魅力

適切な進行は、あくまでもイベントとしての前提に過ぎません。
全国に先駆けた試みや、他CSの特徴の吸収・昇華も、TCSの大きな魅力です。


まずは物販スペース。
Tetsuさんゆかりの「すまいるインター店」が出張店舗を構え、カードや飲食物・菓子類を販売。
カード販売.JPG

物販.JPG


今回からのチャレンジとして、弁当の販売も実施。
悪天候であり、外に出るのが億劫だった当日。多くの参加者に利用されていました。


270名収容の対戦スペースを用意した上で、休憩スペースもきっちり設けられています。
休憩.jpg



細かいところでは、ゴミ回収も。
処理業者に関連する人間がスタッフにいるため、不法投棄などせずに最終処分まで行うことができます。
弁当販売もゴミ回収も、きちんと行うにはそれなりの資格を必要とします。
出来るのは、長年の活動で築き上げたTetsuさんの人脈があるからこそ。


大会を通じて唯一残念に感じたのは、本戦の観戦が出来なかったこと。
不可能ではありませんが、仕切りによって距離が取られ、カードまで判別することは極めて難しくなっていました。
逆に、不正が行われる余地を潰すとともに、出場者が集中できる環境作りをしているとも言えます。

しかし、そこはTCS。
観戦の難しさをフォローする試みが多数設けられています。

その主軸となるのが『フィーチャーマッチテーブル』―――会場中央に設けられた特別卓。
本戦突入後は1組ずつ、運営側が選んだ対戦組み合わせがこの席でプレイします。

DSCF0021.JPG


ここで行われるのが、大会記録と対戦動画撮影。
大会記録は、後に肉付けを経て「対戦レポート(カバレージ)」、その名も『戦場のヒエログリフ』として公開されます。
カバレージ執筆を行うのは、TCS専属の大会記録担当・帝さん。
関東から九州まで、Tetsuさんに付いて精力的に飛び回り、1年以上に渡って執筆活動を続けてきました。
独特の文調「帝節」で著されるそれは、プレイヤーの一挙手一投足まで叙述的に描き出す、単なる記録を越えたもの。対戦動画とはまた違った味があり、大会への興味喚起・知名度向上にも寄与します。
「レポートを取られたい、って目標の一つに挙がってもらえるようになれば嬉しいですね」

準決勝風景.jpg


白熱した本戦の模様は、ぜひ対戦動画とカバレージでご覧下さい。
決勝戦では、思わず拍手してしまう人もいる程のTetsuさんの前口上にも注目です!



観戦の制限には、サブイベントをより多くの参加者に楽しんでもらいたい意図もあるのでしょう。
最後に、本戦と並行して行われたサブイベントを見ていきます。


まずは『The Gunslinger』―――いわゆるガンスリンガー、シングル戦。
スターチップを賭ける形式、連勝数を競う形式など、方法は変化させつつもTCS1から毎年行われています。
予選よりも多くのプレイヤーと接することができるイベント。賞品を狙うだけでなく、交流の場としても活用できそうです。
ガンスリンガー.jpg


受付用紙にもTetsuさんの雄姿が!小さな遊び心が素敵です。
ガンスリ用紙.JPG



もう一つが『Trial/Heaven’s Feel』。
札幌で行われていたイベントにインスパイアされた、「トライアラー」と称する著名プレイヤーとの対戦です。
運営選出プレイヤーのほか、有志の参加者もトライアラーの任を担います。
2010年度世界大会出場者・レオパルドさん、TCS2優勝者・HAJIMEさん、大阪の有名プレイヤー・ナイフさん、etc…
地域の壁を越えて、憧れのプレイヤーと実際に対戦できる良い機会です。
トライアラー.jpg


TCS3に引き続いてのイベントとなりましたが、TCS4では新たな楽しみ方が追加されました。
Stage1からStage6まで、階層ごとに指定されたプレイヤーとの6連戦です。
全勝で豪華賞品をゲットできますが、1敗でもすればそこでゲーム終了。
もちろん只のシングル戦ではありません。ステージが進むにつれて攻略難易度は上がっていきます。
5回戦の相手・ADDPさんが駆使するデッキは、日本未発売カードを使用するものや、中には過去猛威を振るった伝説のカードを組み込んだものまで。趣向に富んだ6種類、挑戦者のダイスロールによって決定されます。
そんな強敵を突破しての最終戦・6回戦では、Normal・Lunaticの2種類の難易度を用意……と言っても、折角ここまで到達したのなら誰もが選ぶのはLunatic。
そこでは、代表Tetsuさん&副代表ADDPさんのタッグを1人で相手にすることになります!

そんな強敵を突破することで迎える6回戦・最終戦。
そこでは、Tetsuさん&ADDPさんのタッグを1人で相手にすることになります!
こんな破天荒なイベントは、非公認大会だからこそできる事ではないでしょうか。





◇あとがき

「TCSの魅力って何ですか?」
そんな質問を、様々なプレイヤーに聞いて回りました。
毎年のように参加している遠征組でも、改めて問われると難しい……と考え込んでしまう方も。

最も多かった答えは「雰囲気」―――参加者の温かさ、アットホームさです。
プレイヤーの気質は総じて友好的。フリー対戦にも快く応じてくれます。
予選落ちしてしまったプレイヤーも腐らずに、本戦進出者32名の点呼時にきちんと拍手を送る姿には少々驚きました。
サブイベントまできっちり楽しめる大会作りをしているから、という事も理由の一つでしょう。
しかし、自分はTCSでしか福岡を知らない身ですし、もとより人の温かみに理由付けなどしてしまうのは無粋です。
敢えて「そういう地域性なんだ」という言葉で締めくくりたいと思います。

表彰式2.jpg

表彰式4.jpg

表彰式3.jpg


Tetsuさんが愛し、その活性化のために苦労を厭わなかった、福岡という地。
その温かさは、ぜひ皆さんで直接確かめて頂ければと思います。

12月、『TCS5』でお会いしましょう!





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<参考リンク>
Tetsu Champion Ship公式サイト
「━━━━体は札で出来ている。」(TetsuさんBlog)
【結果】第四回TCS〜テンノフダガミ〜
【宣伝】Tetsu Champion Ship

<特別協力>
Tetsuさん(『TCS運営委員会』代表)
帝さん(『TCS運営委員会』代表補佐・大会記録担当)
ハスカールさん(『TCS4総括放送』司会)
TCS運営委員会・TCJ・有志スタッフの皆様

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(本稿に対するご意見・ご感想がありましたら、よろしければ「duelentrance.ford☆gmail.com(☆→@)」までお送り下さい。)
posted by Ford at 01:13 | TrackBack(0) | 文献 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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